gem-ジハロ(ハロ)シクロプロパンの特徴を活かした素反応の開発および生理活性天然物・殺虫性化合物の合成研究を行った。すなわち、ユニークな素反応の開発を◆カオチン的、◆ラジカル的、◆アニオン的と、有機反応の多面的角度からアプローチし、それの応用展開である。その結果、以下の成果を挙げた。 ◆カオチン的アプローチ: 各種のgem-ジハロシクロプロパン類の高選択的ベンズアヌレーションを見い出した。すなわち、gem-ジハロシクロプロパン酸クロリドとの連続的Friedel-Crafts反応による4-アリール-1-ナフトール類の高選択的ベンズアヌレーション、医薬のリード化合物として期待できるリグナンラクトン類縁体の全合成への応用展開、gem-ジハロシクロプロパン酸クロリドを用いるジアリールフラン選択的合成、位置制御ベンズアヌレーション、3種の非対称置換リグナンラクトン天然物の全合成への応用展開、sp3不斉から軸不斉への不斉転写ベンズアヌレーション、新規シクロプロパンシフト型ベンズアヌレーション、である。 ◆ラジカル的アプローチ: 各種のgem-ジブロモシクロプロパン類の高立体選択的ラジカル付加反応を見い出した。すなわち、分子内5-または6-exo-trig型のラジカル環化反応Bifurcating環化反応、5-3-5-トリシクロ炭素環化合物の合成、高立体選択的、連続的分子間ラジカル付加、水カビの性フェロモン=(±)サイレニンの形式合成への応用展開、である。 ◆アニオン的アプローチ: VIII族1周期遷移金属を用いるgem-ジクロロロシクロプロパンのgem-ジメチル化ならびにCoCl2(dppe)触媒による還元的脱クロロ化、ピレスロイド殺虫活性化合物の鍵中間体の高立体選択的合成の応用展開、である。
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