研究課題/領域番号 |
09640662
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
無機化学
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
會澤 宣一 静岡大学, 工学部, 助教授 (60231099)
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研究分担者 |
中村 基 静岡大学, 工学部, 助教授 (80022242)
山田 眞吉 静岡大学, 工学部, 教授 (60022737)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | アルキルアミン / 八面体-四面体の幾何平衡 / 配位子場安定化エネルギー / 球対称のエネルギー準位 / 電子反発 / 溶媒交換反応 / 活性化エンタルピー |
研究概要 |
n-プロビルアミン、n-ヘキシルアミン、2-メトキシエチルアミン、ベンジルアミンのようなアルキルアミン中で、Co(II)イオンの六配位八面体-四配位四面体の幾何平衡のエンタルピー変化(ΔH゚)を求めた。この結果から、配位数の異なる錯体間のエネルギー差を決定する要因としては、配位子場安定化エネルギー(LFSE)を差し引いた、球対称場におけるポテンシャルの差(ΔE spher)が重要であることがわかり、さらにこのΔE spherは電子反発項に大きく依存していることが明らかになった。すなわち、大きな電子反発をもたらす系では、配位数の大きい幾何構造のエネルギー準位が相対的に上がるため、六配位八面体のエネルギー準位が四配位四面体に近づくが、電子反発が小さい系では、六配位八面体の安定化が大きくなる。この考え方を、溶媒交換反応の基底状態と活性化状態のエネルギー差にも適用した。すなわち、解離的な反応機構においては、活性化状態で配位数が減少するとみなせるので、電子反発の大きい系ではΔE spherは小さくなり、これが原因で活性化エンタルピー(ΔE spher)が小さくなり反応速度が速くなると予想され、電子反発が小さい系ではこれと反対の結果か予想される。実際に電子反発の大きいn-プロビルアミンとそれよりも電子反発の小さい2-メトキシエチルアミン中でCo(II)イオンの溶媒交換反応を測定してみると、予想どおり後者よりも前者のほうがΔE_‡が小さくなり反応速度が速くなった。この考え方に、溶媒交換反応の反応座標がアルキルアミン中でほぼ一定であり、遷移状態の配位子場安定化エネルギーが基底状態がそうであるようにほぼ一定と仮定すると、電子反発のパラメーターからΔE_‡の値を予測することが可能となり、反応速度を見積もれることが明らかになった。
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