研究課題/領域番号 |
09640668
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
春日 邦宣 島根大学, 総合理工学部, 教授 (00032615)
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研究分担者 |
杉森 保 島根大学, 総合理工学部, 助手 (60263505)
半田 真 島根大学, 総合理工学部, 助教授 (70208700)
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キーワード | フタロシアニン / デンドリマー / 光触媒 / 活性酸素 / 酸化反応 / 光増感剤 |
研究概要 |
フタロシアニン金属錯体を用いた、光触媒反応、光線力学的増感作用、酸素化触媒反応、有害物質の酸化分解等について検討し、これら触媒反応に対する本錯体の基礎的特性及びその応用についての評価を行なった。 光触媒 電子供与体、光触媒、電子受容体の三成分系における触媒の役割を明らかにするための検討を行なった。特に水溶性錯体をめざして、トリスルホフタロシアニナト亜鉛(II)錯体を用いた。その結果、本反応系は酸化的消光過程を経て進むことが分かった。 光線力学的増感作用 DMSO中テトラ-t-ブチルフタロシアニナト金属錯体による酸素分子の光励起について検討した。この活性酸素分子はガン等の腫瘍を分解する機能を有するので、本錯体は臨床的治療薬としての可能性を持つ増感剤である。コバルト(II)錯体は触媒能がなく、亜鉛(II)錯体は大きな触媒能を示した。また、周辺置換基として、アニオン性のスルホ基よりカチオン性の置換基の方が効率良く励起酸素分子を発生させることが判明した。 酸素化触媒 アルデヒド存在下シクロヘキセンの酸素酸化の触媒としての本錯体の機能を調べた。反応は、ラジカルによる基質の直接酸素化、及びオキソ金属錯体を形成しこれによる酸素化の二経路により進行することが分かった。その際、マンガン(III)、鉄(III)錯体で反応は促進され、メタルフリー及び亜鉛(II)錯体では反応は進行しないことが判明した。また、コバルト(II)錯体では、誘導期間が現われた。 有害物質の酸化分解 トリクロロフェノールの過酸化水素による酸化分解における本錯体の触媒作用について速度論的に検討した。反応次数等より分解の反応機構を推定した。 デンドリマー錯体 フタ口シアニン亜鉛(II)錯体の周辺にデンドリマーを4個導入して、吸収及び発光スペクトルに及ぼす影響について検討した。今後、更に光触媒としてまた酸素化触媒としての機能について検討を進める予定である。
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