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1997 年度 実績報告書

メタラジカルコゲノレン環を反応場とする反応性中間体の捕捉と脱離

研究課題

研究課題/領域番号 09640673
研究種目

基盤研究(C)

研究機関上智大学

研究代表者

梶谷 正次  上智大学, 理工学部, 講師 (00053702)

キーワードアルキリデン / コバルタジチオレン錯体 / ナイトレン / イミド / 付加反応 / アジド化合物 / ジアゾ化合物 / X-線構造解析
研究概要

ジチオレン錯体に種々のジアゾ化合物(N_2CR^1R^2)を作用させたところ、窒素が脱離し、アルキリデンがコバルト-硫黄間に架橋したアルキリデン付加体が生成する。これらアルキリデン架橋付加体は、用いる試剤(ルイス塩基、プロトン酸、単体ハロゲンなど)との反応により様々な構造変化を示すことが明らかとなった。ルイス塩基であるホスフィンやホスファイトとの反応では、2種類の生成物(ジチオレン錯体、アルキリデン部位、ルイス塩基からなる三元付加体)を得た。一方は、ルイス塩基のコバルト付加によりコバルト-硫黄間の結合開裂した6員環化合物である。他方は、ルイス塩基のコバルト付加によりコバルト-炭素間の結合開裂した硫黄イリド構造を有する化合物である。これらルイス塩基の配位した付加体は、いずれも付加体は高圧水銀灯光の照射により、定量的にルイス塩基が解離し原料であるアルキリデン架橋型付加体(二元付加体)に戻る。また、プロトン酸(HX)を作用させたところ、ハロゲンイオンがコバルトに配位し、硫黄がアルキル化した三元付加体が得られた。これら三元付加体には、ハロゲンとアルキル基との向きにより、2種類の立体異性体が存在することが、スペクトル的観測から明らかとなった。
これらアルキリデン付加体は、プロトン酸のみならず、ハロゲン単体とも反応し、プロトン酸との反応と類似の三元付加体を生成することが明らかとなった。さらに、ジチオレン錯体(CpCo(S_2C_2Y_2),Y=Ph,COOMe)にテトラシアノエチレンオキシド(TCNEO)を作用させても、ジシアノメチレンの配位した架橋型付加体が生成する。
ジチオレン錯体に等量のトシルアジド(TsN_3:Ts=-SO_2-C_6H_4-Me)を作用させ加熱還流することにより、イミド部位のCo-S結合に架橋したイミド架橋二元付加体を得ることができる。この付加体はプロトン酸と反応し、Co-N結合が開裂し、先のアルキリデン付加体と類似のCo-XとS-NHSO_2C_6H_4-Me結合を有する三元付加体を生成する。この三元付加体はピリジンなどの塩基との反応により元のイミド架橋二元付加体にもどる点が特徴である。さらに、イミド架橋二元付加体をトルエン中でPPh_3存在下加熱還流することにより、p-トルエンスルホニルイミド部位がCp環のC-H結合に挿入した新規置換CpCo錯体が生成した。本反応は形式的にはイミド部位がナイトレンとしてCp環へ分子内転位した反応とも考えられ、その機構が注目される。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] M.Kajitani, S.Adachi et al.: "Reactions of Cobaltadithiolenes with Germanorbornadiene-Formation and Structure of Unique Binuclear Cobalt Complexes Containing a Bridging Dimethylgermylene Moiety" Organometallics. 16. 2213-2215 (1997)

  • [文献書誌] A.Sugimori, M.Kajitani et al.: "Formation of Cobaltadithiolene in a One-Pot Reaction amoung[Co(Cp)(CO)_2],α,β-Unsatsurated Carbonyls,and Elemental Sulfur" Chem.Lett.1997. 513-514 (1997)

  • [文献書誌] C.Takayama, M.Kajitani et al.: "Structural Changes Induced by Electron-Transfer Reactions. Isomerization of Alkylidene Moiety by the Reversible Metal-Carbon Bond Cleavage in the Alkylidene-Bridged Cobaltadithiolene Complex" Organometallics. 16. 3498-3503 (1997)

  • [文献書誌] A.Sugimori, M.Kajitani et al.: "Ionic and Radical Substitution in Cobaltadithiolene Ring by Dibenzoyl Peroxide" Chem.Lett.1997. 807-808 (1997)

  • [文献書誌] M.Kajitani, T.Yagisawa et al.: "Crystal Structure of [Bis(1,2-diphenylphosphino)ethane] (maleonitriledithiolato) nickel (II) [Ni(dppe)(mnt)]CH_2Cl_2" Anal.Sciences. 13. 873-874 (1997)

  • [文献書誌] C.Takayama, M.Kajitani et al.: "Reactions of Tetracyanoethylene Oxide (TCNEO) with Cobaltadithiolene Complexes" Chem.Lett.1998. 241-242 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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