研究概要 |
炭素共役系架橋二核錯体研究の一環として、特異な反応性を示すフェロセニレン架橋白金二核錯体[{C_5HS24E2Pt(COD)X}_2Fe(II)(1)の合成研究を行った。フェロセニレン架橋白金二核錯体1に有機機能性分子を導入する目的で1の置換基XをCIから種々のアセチリド誘導体へ変換した。すなわち、フェロセニレン架橋白金二核錯体1をヨウ化第一銅触媒の存在下ジエチルアミン中種々のアセチレンと反応させることによって対応するフェロセニレン白金アセチリド誘導体{C_5H_4Pt(COD)-C≡CR}_2Fe(II)(2)(R=フェニル、、2-ナフチル,9-アントラセニル,1-ピレニル,フェロセニル)が安定な反磁性赤色結晶としてそれぞれ高収率で合成された。得られた錯体2は安定で錯体1(X=C1)に特徴的なCOD配位子のトリフェニルホスフィンとの交換反応に付随して起こる酸素分子の活性化や、S-S,Se-Se結合の開裂反応は認められなかった。この結果は、上記反応に二官能性アセチレンを用いることにより安定なポリマー型アセチリド錯体が生成する可能性を示している。 また、フェロセニレン架橋白金二核錯体1と大過剰のアセチレン類およびヨウ化第一銅との反応で常磁性緑色結晶として得られるフェリシニウム塩型多核白金銅アセチリド錯体の生成反応はフェロセニルアセチレンでは全く進行しないがその他の芳香族アセチレンでは緩やかに進行して緑色結晶が生成することも明らかになった。
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