研究課題/領域番号 |
09640680
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
庄野 安彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80013481)
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研究分担者 |
阿藤 敏行 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40241567)
草場 啓治 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60186385)
菊地 昌枝 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (00005951)
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キーワード | 高圧合成 / BiMnO_3 / ペロフスカイト / 強磁性 / 結晶構造解析 / 孤立電子対 / ヤーンテラー歪 |
研究概要 |
本年度は、高圧合成により得られるペロフスカイト構造BiMnO_3の強磁性の起源を明らかにするため、中性子回折により結晶構造の決定を行った。まず高圧合成によって得られたBiMnO_3の安定性を熱分析によって調べると共に、単結晶の育成を試みたが、成功しなかった。従って、結晶構造の解析は粉末試料の中性子回折によることとし、原研3号炉に設置された高能率中性子回折装置HERMESを用い、回折データを収集した。この装置を利用することにより、6回の高圧合成により得られた約200mgの少量の試料について、約4時間の測定を行うことにより、構造解析に必要な回折データを得ることができた。 あらかじめ電子回折によって求められた単斜晶の単位格子とC2の空間群をもとに、リートベルト法による構造解析を行った。その結果、Bi原子が正規の12配位位置から著しく偏っていること、MnO_6八面体はいずれも一軸方向に伸びており、その配列はLaMnO_3の場合とは異なっていることが明らかになった。これらの解析結果は、BiMnO_3の結晶歪の原因がBi^<3+>の6s^2孤立電子対の分極とMn^<3+>のヤーンテラー歪にあること、強磁性は、Mn^<3+>のe_g空軌道の規則的配列による強磁性超交換相互作用が卓越し、しかも比較的一様に分布しているためと説明される。これらの結果は、Bi_<1-x>Sr_xMnO_3固溶体でSr固溶量の増加に伴い磁気モーメントは減少し、x=0.4附近で強磁性が消失すること、また同時にBiMnO_3で見られた三斜晶歪みはxの増加と共に減少し、単斜晶を経て、正方晶に変化することと良く対応する。一方このキャリヤ導入により、電気抵抗は減少するものの金属的伝導は示さない。これは、いわゆる二重交換相互作用により、金属化と共に強磁性が発現するLa_<1-x>Sr_xMnO_3と著しい対照を示す興味ある結果である。 このほか、高圧下で得られる岩塩構造ZnOの安定性、EuBa_2Cu_3O_γの衝撃合成過程の数値計算による検討などを行った。
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