研究概要 |
Zn_<0.957>Cu_<0.043>Sが,可視光照射下,亜硫酸水溶液から450μmol/hの速度で水素が生成することを見いだした。この活性は,よく知られたPt/CdS光触媒の活性に比べても見劣りしなかった。白金のような助触媒を担持しなくても,このような高活性を示したことは特筆すべきである。Zn_<0.957>Cu_<0.043>Sの光触媒活性に対する420nmでの量子収率は3.7%であった。活性の波長応答性が拡散反射スペクトルによく対応していることから,光触媒的に反応が進行していることが示された。このように,ZnS光触媒にCuを固溶化させることにより,ZnSの水素生成能を維持したまま,可視光応答性を有するようになることを初めて見いだした。一方,In_2O_3(ZnO)_mは超格子のような積層構造を有するため,その光物性や光触媒特性に興味が持たれる。そこで,In_2O_3(ZnO)_mの吸収,発光,光電気化学特性,光触媒活性を調べた。 In_2O_3(ZnO)_mのバンドギャップは,原料のIn_2O_3やZnOのそれらよりも小さな値をとるという興味深い結果が得られた。そして,m=3で最小のバンドギャップ(2.6eV)をとった。これからわかるように,この化合物は黄色に着色していた。In_2O_3(ZnO)_m電極を用いて,可視光照射(λ>480nm)するとアノード光電流が観測された。さらは,その粉末は,可視光照射下(λ>420nm)でメタノール水溶液からの光触媒的水素生成と硝酸銀水溶液からの酸素生成に活性を示した。このように,積層構造を持つIn_2O_3(ZnO)_mが新規な光機能性材料群であることを初めて明らかにした。
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