研究概要 |
研究実施計画の超臨界流体エタン中の移動度・反応速度の測定を行った. 1. 試料精製 エタンは、高真空ライン中で,低温トラップによる水分の除去後,Pall-GasKleenフィルターを通して精製した.電子反応性溶質として使用する二酸化炭素は,高純度>99.997%(巴商会)のものをそのまま用いた. 2. 電子シグナル測定 紫外光照射によって光電効果法で,電極から電子をエタン流体中に注入した.紫外光パルス幅及び強度の関係から,反応によるシグナル減衰は解析が困難のため,高い電場をかけてドリフト時間を測定して移動度を求めた. 3. 電子付着反応 CO_<2+e>【double half arrows】CO_2^-の平衡定数Kの決定 2-状態法によれば、CO_2存在下に測定された移動度μは,純エタン中の移動度μ_0と μ=μ_0/(l+K[CO_2]) K=k_d/k_a の関係にあり,移動度の比から平衡定数Kを求めた.この方法で求めた平衡定数は、国際学術研究-共同研究により,ピコ秒X線パルス照射を利用したシグナル減衰から直接決定したk_d,k_aによる平衡定数の値と良く一致する4. 平衡定数Kの圧力変化 平衡定数Kは,臨界圧付近で急激に増加する.-RTd(lnK)/dP=ΔVrとして導かれる反応体積変化ΔVrは著しく負で大きい.これは生成するCO_2^-イオンによる媒質の電縮が原因で,臨界領域における等温圧縮率の極大によるものと解釈される.
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