研究概要 |
金属内包シリコンクラスレートを合成し、電子スピン共鳴法等により内包された金属周辺の電子状態を解明し、新しい分子認識機能を有するミクロポーラスクリスタル触媒系開発のための基礎的研究を行った。また、代表的なミクロポーラスクリスタルであるゼオライトの金属イオン交換と吸着分子の運動および触媒作用の関係につき基礎的研究を行った。得られた結果を以下に記す。 1) Na_3Si_<136>化合物のNa原子ESRの温度変化を詳細に観測し、系内でのNa原子の電子状態と電気伝導との関係を考察した。 2) 種々のNa金属内包シリコンクラスレート(Na_<10>Si_<136>,Ba8Na_6Si_<40>,Na_8Si_<46>)の触媒反応を検討した。エチレンの水素化反応では、Na_8Si_<46>の触媒活性は低いが、Na_<10>Si_<136>は比較的高い活性を持つことがわかった(200oC、2時間で40%の水素添加率)。この水素添加率はNa,Agイオン交換A型ゼオライト(4Ag-Na-A)の触媒活性に匹敵することを確認できた。 3) 構造の相異なる種々のゼオライトに吸着したNO_x(x=1,2)のESR研究を行い、ミクロポーラスクリスタルの金属イオン交換と分子の吸着および分子回転・並進運動の関係につき詳細な検討を行った。
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