研究概要 |
筆者は、N-クロロコハク酸イミド(NCS)/塩化スズ(II)試剤を用い、アルデヒドとトシルアミドからのN-トシルイミニウム塩の新規発生法を開発し、種々の求核剤の付加によるアミン誘導体の合成に応用した。 1. アリルトリメチルシランの付加によるホモアリルアミンの合成(イミン-アリル化反応):CH_2Cl_2中、5〜10℃で、脂肪族、α,β-不飽和、電子供与基または電子求引基を持った芳香族アルデヒド、さらには、ケトンを用いても、高収率でホモアリルアミンが生成した。 2. 2-ブテニルトリメチルシラン(E:Z:86:14)によるジアステレオ選択的イミン-アリル化反応:ほぼ100%のγ位置選択性で、しかも90%のanti選択性でl-置換2-メチル-3-ブテニルアミンを生成した。 3. 酢酸イソプロペニルによるイミン-アセトニル化反応:上記アリル化と同様の条件下、様々なN-トシルイミニウムのアセトニル化カく起こり、1-(N-トシルアミノ)ブタン-3-オン誘導体が生成した。 4. グリニヤール試薬の反応:THF還流条件下でN-トシルイミニウム塩を生成し、5〜10℃で5等量のフェニルマグネシウムブロミドの添加で、N-トシルジフェニルメチルアミンを収率50%で生成した。この方法でアリル、ビニル、アルキルグリニャール試薬も反応した。グリニヤール試薬はN-トシルイミニウム塩のプロトン引き抜きやジクロロスズオキシドとの反応に消費されるため過剰量必要であった。そこで、塩基処理し、エーテル抽出する方法に改良したところ、1.5等量のグリニャール試薬でも有効な収率となった。 5. 2-ブテニルマグネシウムクロリドによるsyn選択的イミン-アリル化反応:2-ブテニルシランとは逆にγ-syn体を選択的に生成した。これによりsynおよびanti付加体のホモアリルアミンの自由な生成が可能になった。
|