研究概要 |
ICP発光分析法において、その定量限界を改善するためにはS/B比(signal-to-background ratio)及びS/N比(signal-to-noise ratio)を高める必要がある。変調分光法はこの目的に適した測光方法であり、光信号の中から変調された成分のみを選択的に検出することができ、雑音成分を除去することが可能である。本研究では、ICP発光分析法に変調測光を適用するために新しいプラズマ制御法を開発した。すなわち、アルゴンプラズマに微量の空気ガスを導入すると発光強度が増大する現象に注目して、空気ガスを周期的に導入することによりプラズマ本体を変調し発光強度に周期的な成分を作り出すものである。この方法をプラズマガス流量変調法と名づけ公表した。本法によれば、定量限界は従来の測定法と比較して10倍以上改善することを確かめ、論文、日本分析化学会議演、及びCitac99国際会議(Tsukuba,Oct.1999)において報告した。 グロー放電発光分析法において、高周波グロー放電に発生する直流バイアス電圧を制御して、プラズマ内にバイアス電流を流すことにより、発光強度が10倍程度増大する現象を見いだした。この方法を、バイアス電流導入法と名づけ公表した。また、このバイアス電流をスイッチング回路を用いて断続することにより、グロー放電プラズマを変調することが可能となる。本法によれば、定量限界は従来の測定法と比較して20-50倍改善することを確かめ、論文、鉄鋼協会講演、及びCSIXXXI国際会議(Ankara-Turkey,Sept.1999)において公表した。
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