研究概要 |
N-フェニル-p-フェニレンジアミン(PPDA)とm-フェニレンジアミン(PDA)や3-メチル-2-ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)とN,N-ジメチルアニリン及びその誘導体である新トリンダー試薬は過酸化水素の存在で青色ないし赤色の色素を生成する。これらの反応は遅いが,ここに微量の金属イオンが共存すると反応は接触的に進行するようになるので,反応開始後一定時間後の色素の吸光度あるいは反応の初速度の測定から各イオンを分析することができる。現在論文を投稿あるいは作成中である。 (1)PPDAとPDAとの酸化カップリング反応を利用して,微量銅(II)の接触分析法を開発し,天然水に応用した。この方法では,ピリジン及びアンモニアが活性化剤として作用した。 (2)MBTHとN,N-ジメチルアニリンとの酸化カップリング反応を利用する微量鉄(II)及び鉄(III)の初速度法による接触分析法を開発し,天然水に応用した。 (3)MBTHとN-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メトキシアニリン(ADOS)の酸化カップリング反応を利用する微量クロム(III)の接触分析法を開発し,天然水中のクロムの定量に応用し良好な結果を得た。この方法ではEDTA,1,10-フェナントロリン(phen)などが活性化剤として作用した。 活性化剤は分析の感度を左右するものであるが,金属イオンの酸化還元反応における配位子の効果を検討し,次のポテンシオメトリーを開発した。 (1)phen共存下でCo(III)/Co(II)系の条件電位が大きく低下することを利用してコバルト(II)によるクロム(VI)と鉄(III)の逐次電位差滴定法を開発した。 (2)同様の作用を利用してphen共存下セリウム(IV)によるコバルト(II)の電位差滴定法も開発した。
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