研究概要 |
1.リチウムイオンに対して高い錯体安定度を有すると考えられる14クラウン4骨格を有し,その側鎖の種類及び置換基の数を変えた種々の界面活性の異なるイオノフォアの合成を行った.現在,ベンゾピナコールを出発原料とし,分子内に8個のフェニル基を導入した界面活性能の低いと考えられる14クラウン4誘導体,ピナコールを出発原料とし,分子内に1個のオクタデシル長鎖アルキル基を導入した界面活性14クラウン4誘導体の合成に成功している.また,更に界面活性能が高いと考えられる2本のオクタデシル長鎖アルキル基を導入したもの,長鎖パ-フルオロカーボンを導入したものについても現在合成中である.一連の界面活性能が異なる14クラウン4誘導体の合成が終了次第,各イオノフォアに基づく液膜を作製し,イオノフォアの界面活性能の違いにより,目的イオンに対する電位応答勾配,検出下限,イオン選択性の違いを評価する予定である. 2.ナトリウムイオン認識部位としての15クラウン5ユニット,SHG活性部位としてのアゾベンゾエ-トユニットを有し,側鎖の長さを変えることによって界面活性能を変化させたイオノフォアを合成した.これらのイオノフォアに基づく液膜のナトリウムイオンに対する共鳴SHG応答を,色素レーザー(波長720nm)を入射基本波として観測した結果,界面活性が高いイオノフォアでは界面活性の低いものに比べ試料溶液中のナトリウムイオンに対するSHG強度が大きいことが分かった.これは界面に存在するイオン結合サイト(錯形成していないイオノフォア)の数が,イオノフォアの界面活性能が高い程多くなっていることを指示している.又同時に共鳴SHGの偏光特性を測定し,イオンフォアの配向が試料中のナトリウムイオン濃度に依存せずほぼ一定であることが分かった.
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