研究概要 |
イオノフォアの界面活性能が液/液界面イオン選択的電荷分離に及ぼす影響を調べることを目的とし、界面活性能の異なるイオノフォアに基づく液膜/試料水溶液界面を共鳴SHG法を用いて観察した。目的イオンに対する結合能は同じで界面活性能の異なるイオノフォアとして4^1-(p-オクタデシルベンゾエートアゾ)フェノキシメチルー15-クラウン-5(1)と4^1-(p-メチルベンゾエートアゾ)フェノキシメチルー15-クラウン-5(2)を合成した。イオノフォア1及び2を同濃度含む1,2-ジクロロエタン液膜/試料水溶液(NaCI溶液)界面の界面電位及び共鳴SHG強度の測定を行った。イオノフォア1及び2に基づく液膜界面における分子配向をSHG法を用いて調べた結果、両イオノフォアの分子配向がほぼ等しく、その目的イオン濃度依存性も見られなかった。又、いずれの液膜も試料溶液中の目的イオン濃度の増加に伴ってSHG強度が増加するが、界面活性がより高いと考えられる長鎖オクタデシルエステル基を有するイオノフォア1に基づく液膜のほうがメチルエステル基を有するイオノフォア2に基づくものよりSHG強度が大きいことが分かった更にイオノフォア1に基づく液膜のほうがイオノフォア2に比べて目的イオンに対して生じる界面電位が大きく、検出下限も向上することが分かった。これらの結果より、イオノフォアの界面活性能が高いほど界面でのSHG活性なイオノフォア錯体の数が多い、すなわち界面電荷分離が大きく、目的イオンに対する電位応答が大きくなり検出下限が向上することが分かった。
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