液体クロマトグラフィーの物理化学的相互作用を利用した分離カラムの代わりに、外部からの周期的な断続磁場を用いて、流れの中で磁性粒子をその磁気特性によって分離する磁気クロマトグラフィーを開発しているが、これまでに大きな磁場勾配が生じる電磁石の鉄心の周縁部にテフロンチューブを巻いた、オープンチューブ型分離カラムによって磁化特性の異なるマグネタイト粒子とヘマタイト粒子の分離に成功している。これまで用いていた小型電磁石(10cm径)によって発生した磁場の最大磁束密度は2kGであったが、本研究では大型電磁石(40cm径)の利用によって最大7.5kGの磁場が最大磁束密度が発生し、これまでより大きな保持容量を得ることが確認できた。また、鉄心の形状や磁極の対向方式などによって、磁気クロマトグラフィーに効果的な磁場勾配についてマグネタイト粒子を用いて比較検討した。磁極先端部の断面積が小さいものの方が、その周縁部で高い磁場勾配を発生させることができることが確認されたが、周縁部の長さが制限され、分離カラムの有効な長さを狭める結果となる。また、磁極を対向させる場合の方が、大きな磁束密度と磁場勾配を発生し、大きな保持容量を得ることができたが、この場合は電流の遮断時に大きな誘導電流が残留し、磁場が働く有効な時間が結果として増えたことが影響していると思われた。
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