周期的断続磁場を利用して流れの中で磁性粒子をその磁気特性によって分離する磁気クロマトグラフィーを開発してきているが、これまで100mm径の小型電磁石の鉄心の周縁部にテフロンチューブを巻き付け、オープンチューブ型分離カラムを用いてマグネタイト(Fe_3O_4)粒子とヘマタイト粒子(αーFe_2O_3)の分離に成功している。 しかし、これまでの小型電磁石で達成できる最大磁束密度はコイル電流4Aで170mTであったが、本研究で電磁石および電源のスケールアップを図り、短辺2.2mmおよび長辺3.2mmの平角銅線を880巻にした250mm径の電磁コイルによって、最大電流30A、最大磁束密度は1200mmTまで増加し、より効果的な磁場を発生させることを確認した。また、テフロンチューブを巻き付ける鉄心形状の検討を行ったところ、磁極先端部の断面積が小さい条件と逆に磁極先端部を広げた条件とでは、断面積が小さい方が磁束密度が高く、より大きな保持時間が得られると予想されたが、逆の結果となった。これは、同じ分離カラム長さの場合、磁場勾配が最も有効に働く周縁部を長く利用できる先端部を広げた条件の方が、少しの磁束密度向上よりも保持時間には有効に働くためであると思われた。 これまでは、コイル電流を一定にした条件での周期的断続のみでクロマトグラフィーの制御を行っていたが、コンピュータからのDA制御により、コイル電流を連続的に変化できるように改良を行った。その結果、磁場のこれまで分離の難しかった、磁気特性の異なる3成分の磁性粒子マグネタイト、へマタイト、そしてマグへマイト粒子(γ-Fe_2O_3)の分離の可能性が見いだされた。
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