研究概要 |
本研究目的を達成する上で最も重要な課題は,優良な抗体を得ることであり,そのためには異性体が混入しないプテリジン化合物(ハプテンとして用いる)の合成法を確立することが必要である.ネオプテリンのようにプテリジン環の6位に置換基をもつプテリジン化合物の位置選択的合成は,従前の方法ではまだ達成されていない.そこで,この研究では先ずプテリジン化合物の位置選択的合成法の確立に取組み,かなりの成果を得た.モデル化合物として1,3-ジメチルルマジンを用い,以下に記したように基本的に二つの方法を検討した. (方法1)1,3-ジメチルルマジン 5-オキシドとトリフルオロメタンスルホン酸との反応により,1,3-ジメチルルマジン-6-トリフラートを得た.この化合物は,求核剤と極めて容易に置換反応を起こし,様々な置換基を6位にもつ1,3-ジメチルルマジン誘導体を与えた(発表済み).また,1,3-ジメチルルマジン-6-トリフラートはマロン酸ジエチルなどの活性メチレン化合物とも容易に反応し、6位に炭素官能基をもつ1,3-ジメチルルマジン誘導体を与えた(発表済み). (方法2)1,3-ジメチルルマジン 5-オキシドとアレーンジアゾニウム塩との塩基性条件下での反応により,様々なアリール基が6位に位置選択的に導入されることを発見した.一方,1,3-ジメチルルマジンとアレーンジアゾニウム塩との反応ではアリール基が7位に優先的に導入されることが分かった.ここで発現された位置選択性の差異の理由は,本研究費で購入したコンピュータとソフトを用いた量子化学的計算により解明することができた(発表済み).
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