研究概要 |
ネオプテリンはウイルス感染および種々のガン疾患で異常に増大すること、ビオプテリンはパーキンソン病など神経疾患で低下することが内外の研究者により確認されている。ビオプテリンのテトラヒドロ誘導体は上記神経疾患の有望な治療剤として期待されている。 本研究では、従前体液や組織などに微量に存在するネオプテリンとビオプテリンの分析法として用いられてきた高速液体クロマトグラフィーやラジオイムノアッセイに代わる定量測定法として酵素吸着免疫測定法を検討した。ハプテンのポリスチレン製マイクロタイタープレートへの固定化は、次のようにした。まず、ポリリジンを吸着させ、グルタルアルデヒドの介在によりハプテンのN^2-アミノアルキル誘導体を固定化させた。このように調製したプレートを用いた酵素吸着免疫測定法では、1〜25ピコモルのネオプテリンとビオプテリンを再現性良く測定できることを示した。 プテリジン化合物の新規合成法の研究では、6,7-位無置換のプテリジンに様々な官能基を導入する方法を発見した。1,3-ジメチルルマジン5-オキシドと多様なアレーンジアゾニウム塩との反応で、6-位にアリール基が位置選択的に導入されることを見出した。同じ基質と無水トリフルオロメタンスルホン酸とからは、高活性の1,3-ジメチルルマジン-6-トリフラートを得た。このものとエノラートおよびアセチリドとの反応により、6-位および7-位に様々な炭素官能基およびアルキニル基をもつプテリジンの合成に成功した。
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