本研究は、液体クロマトグラフィーにおいて、内径0.5から2.0mmのミクロカラムの開発と実用化および、小径カラムの性能を十分に発揮できる小型、高性能の装置の開発とその実用化を目的とする。 平成10年度は、前年度に引き続き検出器の評価を行った。前年度より採用した亜鉛放電管による214nmの輝線を利用した検出器は、食品保存料や合成甘味料などの微量検出に有効であり、本検出法に採用した亜鉛放電管は、1年間の連続使用に耐え得ることを確認した。さらに、環境水中の硝酸あるいは亜硝酸イオンの極微量分析のためのこれらイオン種の逆相分配カラムにおける保持挙動の詳細な研究に本装置が、有効であることを示した。また、電気化学検出器を接続することによって、酸化あるいは還元性の化合物の特異的な高感度検出を可能とした。この検出器によってマトリックス中の亜硝酸イオンや、共存する芳香族化合物が分離不充分であってもアミンやフェノールのミクロカラムによる定量が可能である。 糖質に対する転移水解酵素、ベータガラクトトランスフェラーゼあるいはグルコノトラスフェラーゼの作用機構の解明のために反応生成物の極微量分析にミクロカラムを適用し、新たな生成反応を見出した。糖の高感度検出には、254nmの吸収法および電気化学的検出法が利用できる、ピラゾロン誘導体化法をミクロカラムに適用するために改良した。分析には10種類の充填剤をカラムに充填してその充填法ならびに分離特性あ比較検討を行った。また、多数の糖を短時間に効率よく分析するために2台のポンプを用いた勾配溶出法を適用可能とした。
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