研究概要 |
1) 先にパラボロノフェニルアラニン(p-BPA)はシュウ酸、クエン酸およびイソクエン酸と特異的に錯体形成することを見出したので、この特異的錯形成反応を利用してのp-BPAの単離を試みた。先ず、p-BPA,チロシンおよびフェニルアラニンの混合物を、フタル酸塩、またはリン酸塩緩衝溶液を用いて泳動させたが分離しなかった。シュウ酸塩支持溶液を用いて、p-BPAのみをアニオン側に泳動させることにより単離に成功した。 2) p-BPAとジヒドロキシボリル基の保護剤であるピナコール(Pina)との相互作用について検討した。p-BPAとPinaとのアルカリ性混合液を、フタル酸塩およびリン酸塩支持溶液中で泳動させたが、アニオン性錯体の形成は見られなかった。 3) ベンゼン環上に2個のOH基を有するアドレナリン(Adre,副腎髄質ホルモン)は、オルトほう酸と錯体を形成することが知られている。そこで、p-BPAとAdreとの相互作用をゾーン電気泳動法で検討した。p-BPAとAdreとの中性混合液及びアルカリ性混合液を泳動用試料溶液として使用し、シュウ酸塩、フタル酸塩及びリン酸塩支持溶液中で電気泳動させた。いずれの支持溶液中でも、アルカリ性混合液の泳動帯は幅広くなった。シュウ酸およびフタル酸中では、個々の独自の泳動を示した。リン酸中でのAdreの泳動は、p-BPAにより抑制された。 4) 各種支持体(純セルロース紙、アセチルセルロース紙、リン酸紙)の毛細管現象および電気浸透流のp-BPAの泳動に及ぼす影響を検討した。
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