分子インプリント法を応用した多機能多次元液体クロマトグラフィー固定相の開発

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09640726
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 京都工芸繊維大学
• 研究代表者: 細矢 憲 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (00209248)
• キーワード: 分子インプリント / 液体クロマトグラフィー / 粒子径均一粒子 / 分子認識 / 多次元分離 / 表面修飾法

研究概要

多次元クロマトグラフィーを可能にする固定相の開発のため、分子インプリント法と、固定相の表面修飾法の二種類の方法について独立に検討を進めた。
分子インプリント法については以下の成果を得た。
1)粒子径均一粒子の調製において、非共有結合型の分子インプリント法が充分に適用可能であり、得られた固定相の分子認識能は従来法で調製したものと同等以上であることを確認した。
2)粒子調製の希釈剤による分子インプリント効果が発現することを初めて示した。また、この認識部位は、鋳型となった希釈剤と構造の類似した化合物も認識可能であることを見いだした。
3)鋳型分子の溶媒への溶解性の問題から、従来法では調製が困難であった場合について、いくつかの新しい表面分子インプリント法を考案、実施した。
表面修飾法については以下の成果を得た。
1)表面修飾法で得られるセレクターは高分子型となっていることを示した。このとき、従来法の共重合法で得られた固定相では認識が困難な溶質の分離が容易になる場合があることを示した。
2)表面修飾法は、固体モノマーや水に対する溶解度の低いモノマー等に適用可能であることが明らかとなり、条件を選べば、多孔性粒子の外表面と内表面のいずれか、または、両表面を選択して修飾出来ることが明らかとなった。
これらのことから、分子インプリント法と表面修飾法を組み合わせることで、極めて多種多様な高速液体クロマトグラフィー用固定相の開発が可能になることが示された。

研究成果

• [文献書誌] 細矢 憲: "Polymeric chiral surface functionality immobilized on uniformly sized macroporous polymer bead" J.Polym.Sci.Part A:Polym.Chem.35. 2747-2757 (1997)
• [文献書誌] 細矢 憲: "A short and efficient synthetic process to enantiomerically pure (+)-Syributin1" Heterocycles. 45. 1903-1906 (1997)
• [文献書誌] 細矢 憲: "Formal synthesis of (-)-Syrinbolide 1 staring from D-xylose based on a biomimetic strategy." Heterocycles. 45. 1895-1898 (1997)
• [文献書誌] 細矢 憲: "Direct chromatographic separation of racemates on the basis of isotopic chirality." Anal.Chem. 69. 2610-2612 (1997)
• [文献書誌] 細矢 憲: "Porogen imprinting effects" Anal.Chem. 70. 386-389 (1998)
• [文献書誌] 細矢 憲: "Molecularly imprinted chiral stationary phase prepared with racemic template." Anal.Chem. (印刷中). (1998)
• [文献書誌] 細矢 憲: "Molecular and Ionic Recognition with Imprinted Polymers" American Chemical Society (印刷中), (1998)