研究課題/領域番号 |
09640727
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
田中 信男 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60127165)
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研究分担者 |
細矢 憲 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (00209248)
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キーワード | 光学異性体分離 / 重水素化合物 / 同位体キラリティー / HPLC充填剤 / 重水素化フェニル基 / 液体クロマトグラフィー / 同位体分離 / 同位体効果 |
研究概要 |
同位体が作るキラリティーに基づく分離、例えば、水素と重水素の存在がキラリティーを作っている鏡像異性体の間の分離は、極限的に困難な分離である。最近まで、このような異性体の識別はNMRによる検出に限られ通常の分離手段の対象とはならないものと信じられてきた。本研究においては、第一段階としてキラル炭素上にフェニル基と重水素化フェニル基をもつジフェニルメタノールの鏡像異性体ラセミ混合物を直接的にセルロース誘導体をシリカゲルに結合したキラル固定相により分離することを試み、初めてこれらの識別に成功した。 Phenyl(pentadeuterophenyl)methanolについて、セルローストリベンゾエ-トをシリカゲルにコートした固定相を充填した60cmカラムを用いて、非極性移動相中で同位体鏡像異性体の分離を試み、60回のリサイクルにより分離係数1.0080の分離を得た。この直接的な同位体キラリティの識別においては、ジアステレオマ-の分離における分離係数より大きな分離係数が得られた。また、この分離において、エステル型固定相は、フェニル基より重水素化フェニル基を優先的に取り込む部位を有することが明らかとなった。同位体鏡像異性体の識別は、フェニル基と重水素化フェニル基を識別する部位と識別しない部位とが隣接して存在する固定相においてのみ可能である。現在、水素を含む原子団と、重水素を含む原子団とを識別する官能基と識別しない官能基を特定すること、ならびにそれらの官能基を組み合わせてキラル固定相を設計することを試みている。
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