研究概要 |
電導性ポリマーはエネルギーなどの分野で応用が期待されている機能性材料であるが,分離や分析化学への応用はまだ進んでいない.この研究では電導性ポリマーをコロイド微粒子化することにより,その機能性を分離濃縮に応用することを目的としている. 本年度は高度な取り込み対象分子認識機能の組み込みを検討した.電導性ポリマーは合成時にドーパントと呼ばれる陰イオンを自動的に取り込む.従って,このドーパントに機能性があれば,ポリマー粒子にその機能性を簡単に組み込むことが出来る.今年度の研究はこの考え方に基づき,アミノ酸の光学異性体の選択的認識,取り込みを研究した.アミノ酸の光学異性体認識機構として,ここでは銅三元錯体,Molecular Imprinting法を検討した. 銅三元錯体として,まずCBZ-L-アスパラギン酸イオンを立体選択的配位子としてドープしたコロイドを作成した.このコロイドを銅イオンの存在下対象とするアミノ酸溶液と接触させた.結果としてL体のアミノ酸は約60%,D体のアミン酸は約10%程度コロイド内に捕捉され,立体化学認識機能が組み込まれたことが分かった. Molecular Imprinting法としてはアミノ酸をドープしたポリマーをまず合成し,過酸化を行ってキャビティを作成した.予備検討として,まず膜でその物性を検討した.この膜を用いて電位差測定を行ったところ,キャビティと同じアミノ酸でより大きい応答が得られ,この方法が原理的にアミノ酸の立体化学認識に応用可能であることが分かった.
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