計画した通り、ポリメタクリロイルアセトン修飾超微小センサの試作を行ない、センサの特性評価を行なうことができた。まず、メチルエチルケトンを出発物質としてメタクリロイルアセトンを合成した後、アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤に用いて目的のポリメタクリロイルアセトンを得た。別に、カーボンペーストを作りシート状に加工した。これを30μmの白金線を封入した超微小白金センサの先端部に充填し、上述の高分子を修飾して、超微小センサを作製した。試作センサ上に目的金属イオンを錯形成(前濃縮)させた後に、申請のBAS社製エレクトロケミカルアナライザーCV50Wを用いて電気的測定を行ないセンサの特性評価を行なった。すなわち、感応膜の組成比とその安定性、測定可能な金属イオンの種類の検討、走査速度、pHの影響、前濃縮時の印加電圧の影響、温度の影響あるいは定量可能な濃度範囲、センサ寿命等について検討した。その結果、鉄イオン、銅イオン、鉛イオンおよびモリブデンイオンの定量が可能であることが明らかになった。 二年目は、金属イオン混合物の同時定量法の確立について検討した。銅(II)イオンと鉛(II)イオンの同時定量の可能性について検討した。実験としては、pH5.0緩衝溶液を用いて、2mM銅(II)イオンと2mM鉛(II)イオン混合溶液を調製し、走査速度25mV/s、前濃縮時の印加電圧100mV、前濃縮時間60秒で測定を行った。その結果、-500mV付近に鉛(II)イオンの酸化ピークが、また、0mV付近に銅(II)イオンの酸化ピークが現れることを知った。鉛(II)イオンより銅(II)イオンのほうが大きなピーク電流値を示し、pH5.0緩衝溶液中で測定を行うのが同時定量には適当であった。また、銅(II)イオンと鉛(II)イオンの濃度を変えて同時定量を行ったところ、濃度範囲10^<-4>M〜10^<-3>Mにおいて良好な直線性を示し、銅(II)イオンはY=18.06+346.66X(相関係数0.996)、鉛(II)イオンはY=-7.07+150.11X(相関係数0.988)という検量線が得られた。
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