2次元ゲル電気泳動とキャピラリー電気泳動によって、骨髄腫患者血漿中の異常タンパク質を高感度に、かつ高性能に検出することが可能となった。2次元ゲル電気泳動とキャピラリー電気泳動を比較すると、2次元ゲル電気泳動では異常タンパク質の等電点と分子サイズを同時に見積もることができるため、タンパク質分子種の同定が容易であるが、定量の面では電気泳動後別に定量操作が必要である。また、ゲル電気泳動も画像処理による定量も手操作が多く、能率の点では優れているとは言い難い。これに対してキャピラリー電気泳動は、泳動中にタンパク質の定量(ピーク高さ)データが得られるうえに、全自動装置による連続分析が可能であるため、きわめて高能率であるといえる。タンパク質の同定に関しては、キャピラリ一等電点電気泳動とサイズ分離キャピラリー電気泳動を併用することにより、2次元ゲル電気泳動に近い精度で同定することも可能であると考えられる。 総合的にみれば、今回条件を確立したキャピラリー電気泳動は、骨髄腫患者血清中の異常タンパク質の高感度、高性能検出法としてきわめて有効であり、スクリーニング・同定・定量を同時に行いうる分析法として今後の活用が期待できる。
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