雌器官と雄器官への進化的に安定な資源投資比は1対1になることが予測されている。しかし雌雄同株植物の場合、資源投資は雌器官(雌しべや果実)に大きく偏ることが普通である。本研究では、花と果実の発達速度を考慮すれば雌に偏った資源投資が説明できることを示した。 【仮定】花・果実が吸収できる資源量はその時点での花・果実の大きさSに比例する。資源の供給速度をPとすると、花・果実の発達速度は、(1)aS<PのときdS/dt=aS、(2)aS>PのときdS/dt=Pである(aは正の定数)。植物は、繁殖期間のどこかで、花生産(雌器官+雄器官)から果実生産(雌器官)に切り替える。 【結果】Pが十分に大きく上記(1)しか起こらないなら、雄器官/雌器官=胚株一つあたりのコスト/種子一つあたりのコストとなる。果実発達の後期に(2)が起こるときでも、雌器官に大きく偏った資源投資が一般的な解である。
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