研究概要 |
本研究は短世代生活環をもつサビキンの冬胞子発芽様式とそれに伴う核の行動様式を明らかにしようとしたものである。その結果、Puccinia circaeae Pers.,P.lantanae W.G.Farlow,P.nipponica Dietel,P.patriniae P.Hennings P.tiarellaecola Hiratsuka,f.およびEndophyllum paederiae Stevens & Mendiolaの冬胞子発芽様式とそれに伴う核の行動様式を新たに明らかにできた。またP.arenariae WinterおよびP.horiana P.Henningsではこれまで報告されていた冬胞子発芽様式を確認したが、生活環での核の行動様式は全く異なったものであった。 これらのうち、P.circaeaeの示した型はこれまでサビキンに知られていなかったものであった。すなわち、このサビキンでは単相2核菌糸体から単相2核を含む冬胞子が形成される。冬胞子内で核融合が起こり、発芽して生じる後担子器内で減数第1分裂が起こり、娘核は隔壁で仕切られる。後担子器の2細胞からそれぞれ単相1核を含む担子胞子が生じる。担子胞子内で減数第2分裂が起こる。したがって担子胞子は単相2核を含むことになる。 短世代種のサビキンは生活環短縮の進化の過程で、しばしばホモタリックになることが示唆されてきたが、それを接種試験で証明した例は少なかった。本研究で、Kuehneola japonica(Dietel)DietelおよびP.lantanaeについて単担子胞子接種試験を行った。その結果、単一の担子胞子由来の菌糸から冬胞子堆・冬胞子が形成され、両種がホモタリックな菌糸による有性生殖を行うことが証明された。
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