研究の目的のひとつである、「水生大型植物の換気機能を測定し、根圏に酸素を供給する能力のスクリーニングをおこなうこと」を本年度も継続した。スイレン、ガガブタ、アサザ、ハス、コウホネ、ミズヒナゲシ等の加圧能力、換気能力ともにある種、トチカガミ、ホテイアオイなどの加圧能力は高いが、換気速度は非常に小さいかほとんど認められない種、それにヒシ、ジュンサイ、ヒルムシロなどの加圧、換気能力ともに認められない種に分類できた。 第二の研究目的の「植物群落の土壌からの窒素ガスおよびメタンガス放出速度と換気速度との相関を明らかにすること」を本年度重点的におこなった。そのなかでもとくに、植物体を通過するガスフラックスの測定方法の開発に力を入れた。まず、ガスセンサーを用いることによって流出シュートと流入シュートが迅速に判別でき、そのため測定すべきシュート数を半減することができた。次にシュート内の静圧の測定を行ない、実験の最後に刈り取って測定したシュートの加圧能力および導通コンダクタンスを用いてガスフラックスを計算した。平均値約3Ol air m^<-2>ground area h^<-1>という値はシュートを切断してすばやく流速計をつなぐ方法で測定した値と良く一致した。つまり、非破壊的ガスフラックス測定法を確立できた。今後、さらにシュートの加圧能力および導通コンダクタンスを温度、湿度および気孔開度から推定する方法の確立をめさず。
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