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1998 年度 実績報告書

繊毛虫類の種間における防御機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 09640752
研究機関奈良女子大学

研究代表者

春本 晃江  奈良女子大学, 理学部, 助教授 (80198936)

研究分担者 飯尾 英夫  大阪市立大学, 理学部, 教授 (80145771)
キーワード繊毛虫 / ブレファリズマ / クリマコストマム / 放出体 / ディレプタス / 種間関係 / 化学的防御
研究概要

繊毛虫類がもつ防御物質の構造と機能について研究を進めている。
1. ブレファリズマ(Blepharisma japonicum)のもつ色素ブレファリズミン(blepharismin)の構造と毒性------ブレファリズマは毒性のある色素ブレファリズミンを含む色素顆粒をもち、捕食性繊毛虫に攻撃されると、この色素顆粒を放出して防御する。ブレファリズミンの推定構造式は平成9年度に発表された。この構造式を基礎に、現在、有機化学的合成法を検討している。また、酸素と光存在下でブレファリズミンから生じるオキシブレファリズミン(oxyblepharismin)を精製し、ブレファリズミン、ヒペリシンと共に繊毛虫に対する毒性、光毒性について調べた。ブレファリズミン、オキシブレファリズミン共に毒性、光毒性があることがわかったが、これらの色素の特徴は、強い内在的な毒性にあると考えられる。
2. クリマコストマムのもつ防御物質の構造と毒性------ブレファリズマと同じ異毛類に属するクリマコストマム(Climacostomum virens)は、これまでのところ、防御のための放出体を有しているという報告はないが、捕食性繊毛虫ディレプタスなどに襲われた際、クリマコストマムが逃げる行動を示すことから、何らかの防御物質をもっていることが示唆されている。クリマコストマムの抽出成分から、ディレプタスへの致死毒性を指標に、この物質を探索、単離した。NMRなどを用い構造解析を行った結果、この毒性物質は、1,3-dihydoxy-5-[(Z)-2'-nonenyl]benzeneで、新規の化合物であることが分かった。この物質をクリマコストールと命名した。さらに、このクリマコストールの合成法を確立した。このクリマコストールが、実際に生体内で防御物質として機能しているがどうか、また毒性の作用機構などを調べることが今後の課題である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 杉林里香・春本晃江: "Defensivefunction of Trichocysts in Paramecium against a variety of predatory protozoa" Zoological Science. 15. 25 (1998)

  • [文献書誌] 春本晃江、三宅章雄、石川直子、杉林里香、善福和貴、飯尾英夫: "Chemical Defense by Means of Pigmented Extrusomes in the Ciliate Blepharisma japonicum" Europ.J.Protistol.34. 458-470 (1998)

  • [文献書誌] 寺嶋(野田)昌代、飯尾英夫、春本晃江: "Toxic and Phototoxic Properties of the Protozoan Pigments Blepharismin and Oxyblepharismin" Photochemistry and Photobiology. 69・1. 47-54 (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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