(1)仙台シロイヌナズナ種子保存センターに保存されているシロイヌナズナの野生型198系統についてレピジモイドへの反応性をサーベイした。レピジモイドはシロイヌナズナ種子約100gから水抽出したクル-ドの標品を用いた。予備実験により生物検定の条件を検討した。その結果、苗床として濾紙(Whatman540)、培養液としてクランツ液(0.25ml、マイコスタチンを30mg/l含む)、光条件として白色蛍光灯による連続光、温度25°C、培養期間10日間という条件を選んだ。生物検定の指標として胚軸の長さおよび子葉の面積の促進、および根の長さの阻害を測定した。その結果、胚軸伸長または子葉拡大に大きな促進効果を示した系統として15系統を選抜した。これらの系統の反応の強さを再度調査し、最も反応性の高い系統として3系統選んだ。今後これらの系統について、生活環の種々の過程における成長量(草丈、生重量、花芽形成時期、老化時期、種子収量など)への効果を検討する。 アブラナ科のナズナおよびタネツケバナの種子を採集(約100g)し、レピジモイドの抽出条件を検討した。これらの植物の種子はシロイヌナズナよりも大きく、またレピジモイド様物質を分泌し、抽出量が多いために予備実験の材料として選んだ。レピジモイド様物質は水浸後直ちに溶出し、約5時間の水浸で十分抽出されることが分かった。この標品を筑波大学、応用生物化学系、長谷川宏司研究室で分析し、レピジモイド酸の存在、および他にも少なくとも2種類の成長促進物質があることを確認した。現在、この抽出物を用いて高速液体クロマトグラフによる解析を進めているところである。
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