1.野生型酵母のECT遺伝子を破壊した変異株INY104(MATaCHO1Δ::HIS3ECTΔ::LEU2/YCpGPSS)を単離するために、ECTΔ::LEU2遺伝子断片を作成し、酵母INY102B(MATaCHO1Δ::HIS3leu2/YCpGPSS)を形質転換した。その結果、Leu+でかつエタノールアミン要求性を示さないものを9株単離した。現在、サザンハイブリダイゼーション法により遺伝子破壊を確認中である。今後は、遺伝子破壊の確認された株を用いて、ECT遺伝子の単離を行う予定である。 2.INY102Bは、CHO1遺伝子に欠損があるためにグルコース培地では生育できない。これは、酵母では、ホスファチジルセリンの合成が阻害されるとホスファチジルエタノールアミンの合成ができず、従って、ホスファチジルコリンも合成できなくなるために、細胞が致死的になるからである。しかし、INY102Bをナタネの根由来のcDNAライブラリーで形質転換したところ、グルコース培地でも生育可能な株が100株単離された。このうちの二つについて塩基配列を決定した。現在、遺伝子産物の同定を行っている。 3.プログラムフリーザを作成し、シロイヌナズナの凍結に伴う電解質の溶出について調べた。野生型シロイヌナズナは、マイナス6℃で50%の相対電解質溶出を示したが、この温度は、シロイヌナズナの凍結後の生存を著しく低下させる温度と一致していた。しかし、この値は、文献値よりもさらに2度ほど低い温度であった。現在、この違いが何を意味するかを検討している。
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