研究課題/領域番号 |
09640764
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 寛 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (60222113)
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研究分担者 |
高橋 秀夫 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90013333)
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キーワード | chloroplast / RNA polymerase / transcription / sigma factor / Cyanidium caldarium / Cyanidioschyzon merolae / red algae |
研究概要 |
本研究ではまず、単細胞性の原始紅藻Cyanidium caldarium RK-1からクローン化された3種(2タイプ)の葉緑体RNAポリメラーゼシグマ因子遺伝子(sigA、sigB/sigC)について、mRNAの発現をノーザン法により調べた。細胞を数日間連続光下で培養した後、12時間-12時間の明暗周期を3回繰り返した。この培養から経時的にRNAを回収し、sigA、sigBの発現を調べた。その結果、sigAの転写産物が明暗によらず検出されるのに対し、sigBは明下でのみ検出された。従って、sigAは構成的な、sigBは光誘導的な葉緑体転写に関係することが示唆された。C.caldarium RK-1株は細胞壁が極度に堅いなど、実験材料として必ずしも適切ではなかったことから、後半は材料を近縁な紅藻Cyanidioschyzon merolaeに変更し、解析を行った。C.caldariumと同様に、C.merolaeからもシグマ因子遺伝子の検索を行い、2種の葉緑体シグマ因子遺伝子を同定、構造を決定した。 これらはC.caldarium RK-1株のsigA、sigBと対応でき、それぞれsigA、sigBと命名した。これらの遺伝子の発現と、葉緑体DNAにコードされる遺伝子群の発現との関係を調べるために、葉緑体DNAからpsbA、rbcL、cpcG遺伝子の断片を単離し、これらの発現をシグマ因子の発現と併せて調べた。その結果、psbAを除く遺伝子群は暗下では転写されておらず、光誘導的に発現することが明らかになった。またpsbAについても、光による数倍の転写産物の増加が観察された。これら遺伝子の発現は明下に移したまま培養を続けても、発現の強度にかなりの変動が見られ、何らかの内在的なリズム(概日性リズムなど)により制御されている可能性が示唆された。
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