シロイヌナズナのアントシアニン蓄積に関与するホメオボックス遺伝子であるANL2の機能を調べるために、まずRT-PCRによりANL2の発現部位を調べた。ANL2は、葉、茎、花芽、根のすべての器官で発現していた。また、同時にアントシアニン合成系の酵素PAL、CHS、DFRの発現をRT-PCRで調べたところ、いずれも野生型と大きな差は見られなかった。さらに、ttg変異体でのANL2の発現も野生型と差が見られなかったことから、TTG遺伝子とは異なった調節機構で作用していることが示唆された。 anl2変異体では根の表皮細胞と皮層細胞の間に余分な細胞が挿入されるという異常な形態を示す。この余分な細胞がどの様に形成されてくるかを明らかにするため、根の連続切片を作成し調べたところ、これらの細胞は表皮細胞が並層分裂することで形成されることが明らかになった。また、ANL2が根の表皮細胞に何らかの影響を及ぼしていることが考えられるため、根の根毛の形成が異常な突然変異体ttg、gl2、cpcとの二重変異体を作成しその表現型を調べたが、両方の表現型を足し合わせたような表現型を示した。ただし、ttgとの二重変異体においては、根および根毛の成長が抑制された。この表現型については現在さらに詳しく調べている。 ANL2プロモーター領域約2kbをGUS遺伝子に繋ぎその発現を調べた。GUSの発現は根や葉の維管束部分、葉の水孔部分等で見られたが、発現パターンがすべての形質転換体で必ずしも一定しておらず、さらに解析中である。また、ANL2を過剰発現させた形質転換植物を作成し、その表現型も解析中である。
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