研究概要 |
cotA(本研究結果をもとにpxcAと改名した)は本研究代表者等がはじめてらん藻から単離した遺伝子で、高等植物葉緑体ゲノムに存在する葉緑体包膜蛋白をコードするcemAの相同遺伝子である。以下に研究実績を列挙する。1)Synechocystis PCC6803のcotAの440のアミノ酸からなる蛋白をコードする事を明らかにした。2)cotAの遺伝子産物が細胞質膜に局在することを証明した。3)Synechococcus PCC7942のcotAを単離し、432のアミノ酸からなる蛋白をコードする事を明らかにした。4)両らん藻株についてcotA欠損変異株を作製し解析したところ、光照射下におけるプロトン放出能を欠いていた。これらの結果からcotAがプロトン交換に直接関わっていることが明らかとなり、pxcAと改名した。5)pxcA欠損がCO_2,HCO_3^-およびNO_3^-取り込みに及ぼす影響について総合的な解析を行った結果、酸性領域または低Na^+下ではCO_2およびNO_3^-の取り込みを大きく阻害した。これらの結果に基ずきPxcA依存性のプロトン交換は物質輸送の際の細胞内pHや電荷の恒常性を保つ上で重要な働きをしている推論した。6)PxcA依存性プロトン放出は光化学系2のみで進行することを明らかにした。7)PxcAはATP結合部位をもたないことから、i)PxcAはATP結合部位をもつプロトン輸送体と複合体を形成している、ii)PxcAはプロトン輸送体であるが、ATPによって駆動される他のイオンの輸送と共役して駆動される、の2つの可能性が考えられる。
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