細胞板形成に関わるゴルジ小胞の単離を試みた。材料として細胞周期を同調化したタバコ培養細胞BY-2を用いた。分裂後期の細胞からプロトプラストを調製し破砕した後、密度勾配遠心を行って膜分画を得、キシログルカン(XG)抗体を用いて細胞板形成に関わるゴルジ小胞の同定を行った。しかし、XGを含む小胞が広い密度範囲に存在しており、特定が困難であった。そこで、微小管との結合能で調べたところ特定の分画に微小管結合能をもつ小胞が確認された。一方、細胞板形成に関わるゴルジ小胞の集積および融合に関して新たな知見が得られた。アフィディコリン除去後プロピザマイドを添加して長時間(8-10時間)培養すると核が間期様になり、細胞板様構造が核近傍に形成された。細胞板様構造はアニリンブルーで染色されることからカロースが合成されているものと思われた。また、電顕観察により、不定形の細胞板が形成されていることが確認された。細胞板様構造の形成はカフェインやモネンシンの添加により阻害された。これらの結果はゴルジ小胞が分裂中期にはすでに核周辺に蓄積していること、融合開始が分裂期からの離脱と同時に起こることが示唆された。これらの知見はゴルジ小胞単離には分裂中期の細胞が適していることを示している。さらに、融合開始に細胞周期が関わっていることを示唆しており今後の機構解明に大きな手がかりを与えるものと思われる。
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