1) 細胞小器官特異的グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GDH)アイソザイムの性質 オオハネモの葉緑体、ミトコンドリア、サイトゾルそれぞれに、NADP依存性GDHが存在し、その割合は、64.3、9.8、25.8であった。これらは、分子量(280kDa)とN端に違いはなかったが、NADPにたいするKmは、30μM、110μM、43μMと異なっていた。採集した藻を培養すると、GDH活性は10日後には約1.9倍まで上昇し、その後ゆるやかに1.25倍までに減少した。このとき培地にNH4CIを加えると、増加率が上昇した。NaNO3の添加では、活性の増加率はみられなかった。また、葉緑体GDHの活性上昇にはリン酸化が関係する結果が得られた。葉緑体ではNADP依存性とNAD依存性のアイソザイムが誘導されたが、ミトコンドリアとサイトゾルでは誘導されなかった。その他の窒素代謝酵素の局在と考え会わせると、葉緑体は、窒素代謝において、ミトコンドリアやサイトゾルより重要な役割をになっていると考えられる。 2) GDH遺伝子の解析 PCRによってGDH部分遺伝子を2つ得た。それらは、アミノ酸配列では90%の相同性を持っていたが、52%のコドンで第3位置での同義置換が見られた。この2つの遺伝子は、別の染色体上に位置していた。また、全構造をふくむファージを得ており、それから直接配列を決めることも試みたが、成功しなかったので条件を検討している。分子系統樹を作成したところ、1つは細菌に近く、もう一方は原生生物に近く、いずれも緑色植物とはかけ離れていた。このことは、緑藻の起源とその後の進化の解釈に多くの示唆を含んでいる。分子系統樹を作成したところ、1つは細菌に近く、もう一方は原生生物に近く、いずれも緑色植物とはかけ離れていた。このことは、緑藻の起源とその後の進化の解釈に多くの示唆を含んでいる。
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