研究概要 |
1) フロログルシノール系化合物の各種類縁体を合成し、D1蛋白質に対する作用を調べた。D1蛋白質の分解活性発現にはベンゼン環上の2、4、6位に水酸基が必須であった。また、3位のニトロ基、1位の疎水性側鎖が存在しない誘導体は活性が著しく弱かった。ニトロ基を持たず、6位に置換基を持つ、誘導体(G63)では、光傷害時と同じく9,16、23kDa断片が生成した。 2) Ca除去により異常なS_2状態にある光化学系IIをさらに光照射すると、g=2付近に2種類の信号(doublet-like,singlet-like)が観測された。doublet-1ike信号はS_2状態の1電子酸化により生成し、典型的な有機ラジカル対の双極子交換相互作用由来の性質を有していた。一方、singlet-like信号は2電子以上の酸化によって生成した。この時、Parallel porlarization測定ではg=15、Perpendicular測定ではg=11に新たなEPR信号を見い出した。 3) 一般的なマンガン4核錯体の可能な磁気相互作用の全ての組み合わせについて数値計算を行い、その中より酸素発生系Mnクラスターが示す磁気的性質(S_2状態)を満足する磁気構造を抽出した。更に、薄膜上に配向した光化学系II膜断片について角度依存性S_2マルチラインスペクトルのシュミレーション解析を行った。Mnの持つ実効的超微細結合テンソル値の範囲内でクラスターの各MnのEhfcを再現する構造を酸素発生系Mnクラスターの構造として選択した。 4) Mn^<2+>存在下酸素発生能を失った光化学系IIを光照射するとMn^<2+>イオンからの電子供与が起こる。Mn^<2+>イオンの高親和性部位は系IIあたり1つしか存在せず、この部位にMn^<2+>イオンが結合するときのみ酸化型Yzチロシンへの電子移動が起こった。また結合のpH依存性の解析よりより、ヒスチジン残基が結合に関与してことが示唆された。
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