研究概要 |
本年度は昨年に引き続きアラビドプシスにおけるブラシノステロイド生合成機能の追究のための代謝実験系の開発を試みるとともに、新規に見い出したブラシノステロイド欠損ミュータントの解析を行った。代謝実験についてはより効率的な基質の処理方法としてマイクロダイアリシス法を採用し、アラビドプシス植物体茎葉部への標識ブラシノステロイド類の処理を行っているが、代謝物の同定には至っていない。今後処理条件(時間、濃度等)の更なる検討が必要であると考えている。ミュータントの解析においては、ミュータント植物体中の内生ブラシノステロイド類の分析を行った。プレート上で3週間育てた個体(全植物体)25gを用い、内部標準物質として重水素標識した化合物を加えたのちブラシノステロイド画分を精製し、GC-MSにより定量を行った。その結果、テイファステロールのレベルはミュータントにおいて野生株よりも高かったのに対し、ミュータントにおけるカスタステロンのレベルは野生株の5分の1であった。この結果は本ミュータントにおいてテイファステロールよりカスタステロンへの変換が阻害されていることを示しており,昨年度に行ったブラシノステロイド処理による回復実験の結果とも一致する。現在この結果の追試を行うため大量の植物体を準備するとともに、今後ミュータントにおける標識テイファステロールの代謝実験を行うことにより、ミュータントで阻害されている代謝ステップを確定する予定である。
|