研究概要 |
単細胞鞭毛藻類ユーグレナの光合成タンパク質のなかで、光化学系II・集光性クロロフィルa/b結合タンパク質複合体(LHCP II)は細胞核にコードされ細胞質で合成されたのち、葉緑体に輸送される。そして、最終的にチラコイド膜に組込まれることが知られている。本報告書は免疫電子顕微鏡法によりLHCP IIタンパク質の輸送経路を追跡し、分泌タンパク質以外のタンパク質分子が、ゴルジ装置を通過することを確かなものにした。すなわち、先にわれわれは細胞質に新しい構造を見いだした。その構造をcompartmentalized osmiophilic body(COS)と名付けたが、その機能は現在まで不明のままであった。本研究によって、LHCP IIは最初に細胞質のCOS構造を通過し、次にゴルジ装置を経由する経路が今回はじめて明らかになった。Schwartzbach教授のグループは生化学的手法をもちいて、当現象の再現性を確認した。その後、さらにニューヨーク州立大学Lyman教授はユーグレナのタンパク質分子がゴルジ装置を経由する現象に着目し、われわれと共同し光合成酵素リブロース-1,5-ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼの小亜粒子がゴルジ装置を経由する現象を観察した。これらの研究結果は新しい問題提起であり今後、本研究成果によって更なる研究の展開、発展が期待される。
|