1、ガラニン神経系がインドヒラマキガイのみならず、広く軟体動物腹足類の脳内に分布することを示すために本年度は陸棲腹足類であるミスジマイマイ中枢神経内のガラニン神経系について調べた。 (1)、インドヒラマキガイと同様に、各神経節に大型、中型、小型免疫陽性ニューロンが観察された。小型免疫陽性ニューロンは10から20個の細胞が密集する傾向にあり、インドヒラマキガイの場合と同様であった。 (2)、中型免疫陽性ニューロンの一部はFMRFアミド免疫陽性であった。 (3)、神経節中央部のニューロピル領域には、豊富なガラニン免疫陽性繊維が観察された。 (4)、今後、淡水産のモノアラガイ、陸棲のナメクジ、海産のアメフラシ等の中枢神経を検索する予定である。 2、インドヒラマキガイでは、ガラニン神経系の末梢器官への投射領域を調べた。 (1)、口球の筋組織に豊富なガラニン免疫陽性繊維が観察された。 (2)、口球の両側にある唾液腺の腺細胞基底部にも豊富な免疫陽性繊維が観察された。 (3)、これらふたつの器官は、中枢ガラニン神経系の末梢器官への作用を調べるうえで、重要なモデル器官の候補と思われる。 3、インドヒラマキガイ触角神経の断端に逆行性トレーサー(WGA-HRPやコバルトーリジン複合体)を浸し、その起始ニューロンを調べた。 (1)、起始ニューロンは脳神経節のみならず、側神経節、体壁神経節、足神経節にも分布していた。 (2)、これら起始ニューロンの一部は、ガラニン免疫陽性を示した。 (3)、今後これら二重標識されるニューロンにルシファーイエロ-やコバルトーリジン複合体を細胞内に注入してこれらニューロンの投射領域を調べる予定である。 4、現在インドヒラマキガイを生化学的分析に供するために大量飼育を試みている。
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