• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1999 年度 実績報告書

昆虫のキノコ体の出力ニューロンの生理・形態学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09640800
研究機関北海道大学

研究代表者

水波 誠  北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (30174030)

キーワード昆虫 / 脳 / ゴキブリ / 連合学習 / キノコ体 / 長期記憶
研究概要

本年度は、まず、ゴキブリのキノコ体の出力ニューロンに微小電極を刺入して細胞内記録を行い、種々の匂い刺激への応答を調べた。記録終了後にはルシファーイエローを注入し、さらに抗ルシファーイエロー抗体染色を行ってその形態を詳細に調べた。前大脳側葉および前葉に投射する出力ニューロンは、その投射領域の違いにより幾つかのタイプに分けられることが明らかになった。
次に、キノコ体の出力ニューロンと匂い記憶との関係を明らかにするための新たな実験系の確立を目指し、コオロギの匂い学習能力について調べた。未訓練のクロコオロギにバニラとペパーミントの2種類の匂いを同時に与える選択実験を行うとほとんどのコオロギはバニラの匂いを選択した。しかし、3日以上絶水したコオロギに、ペパーミントと水(報酬)を、バニラと塩水(非報酬)を連合させる訓練を1回行うと、コオロギはペパーミントの匂いを有意に高い確率で選択するようになった。1回の訓練で成立した匂い記憶は少なくとも1日間保持され、3回の訓練で成立した記憶は少なくとも4週間保持された。3回の訓練で学習が成立した個体でバニラの匂いと水とを連合させる逆転訓練を2-3回行うと、有意に高い確率でバニラを選択するようになり、記憶の書き換えが容易に起こることが明らかになった。さらに、小さなビーカーに入れて動きを制限したコオロギや、プラスチックの容器に首を固定したコオロギでもペパーミントと水を、バニラと塩水を連合させる学習が成立することが明らかになった。このようなパラダイムの開発は、将来、埋め込みワイヤ電極法や微小電極法を用いて学習前後でのキノコ体ニューロンの活動変化を直接捉えることを可能とするものである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] R.Okada: "Sensory responses and movement-related activities in extrinsic neurons of the cockroach mushroom bodies"J. Comp. Physiol.. 185. 115-129 (1999)

  • [文献書誌] M.Iwasaki: "Ultrastructural analysis of modular subunits in the mushroom bodies of the cockroach"J.Electron Microsc.. 48. 55-62 (1999)

  • [文献書誌] M.Mizunami: "Springer-Verlag"Atlas of Arthropod Sensory Receptors. 220 (1999)

  • [文献書誌] 水波 誠: "実験室の小さな生ものたち"羊土社. 165 (1999)

URL: 

公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi