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1998 年度 実績報告書

単細胞生物を用いた化学刺激受容機構の生理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 09640802
研究機関筑波大学

研究代表者

大網 一則  筑波大学, 生物科学系, 講師 (10223710)

研究分担者 高橋 三保子  筑波大学, 生物科学系, 教授 (90006453)
キーワードゾウリムシ / 化学受容 / 化学走性 / 受容器電位
研究概要

前年度に引き続き、ゾウリムシの化学刺激受容機構について調べた。広範な化学物質について検討を続けているが、本年度は主にゾウリムシの生息する淡水の主要なイオンの一つである外液K^+イオンの受容機構を明らかにした。また、K^+化学刺激に異常をもつ突然変異体を調べて、これが化学受容機構に異常を持つものであることが明らかとなった。これにより、ゾウリムシの化学受容制御機構を生理学的だけでなく遺伝学的にも解析する道が開かれた。以下に結果を列挙する。これらの研究成果は、現在、論文投稿を準備中である。
1、 K^+刺激に対する行動反応。野性型ゾウリムシは高濃度K+溶液中で、数秒から数十秒後退遊泳を示した。K^+刺激に対して過剰な後退遊泳反応を示すKag mutantは高濃度K^+溶液中で野性型より約十倍長い後退遊泳を示した。K^+に対する反応性を欠損したCNRmutantは後退遊泳を示さなかった。
2、 K^+により誘起される後退遊泳行動の制御機構。微小電極を刺入したゾウリムシに高濃度K^+溶液を与えると持続的な膜の脱分極が生じた。脱分極の大きさは野性型、Kag,CNRでほぼ同じであったが、野性型とKagでは投与終了後に反応の延長がみられた。この延長反応は持続的投与に対して不活性化を示した。また、延長反応は後退遊泳の原因である繊毛逆転の持続時間と対応した。K^+に対して反応性をもたないCNRでは延長は見られなかったことから、この脱分極の延長がK^+受容器電位を反映していると考えられる。
3、 Kagの過剰な後退遊泳行動の原因。Kagの活動電位を検討したところ、野性型との違いは見い出せなかった。一方、K^+受容に伴う脱分極反応の延長を比較すると、野性型に比べてKagのほうが不活性化の時間経過が約十倍長かった.この受容機構の不活性化の異常によりKagの過剰な後退遊泳が生じると考えられる。

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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