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1998 年度 実績報告書

環境変化への適応過程における神経系・内分泌系情報伝達機構のはたらき

研究課題

研究課題/領域番号 09640803
研究機関東京大学

研究代表者

岡 良隆  東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (70143360)

キーワード神経生物学 / 神経ペプチド / GnRH / 神経分泌 / 神経修飾 / イオンチャンネル / パッチクランプ / アンペロメトリー
研究概要

1. GnRHニューロンの神経修飾機能 終神経GnRHニューロンのもつ神経修飾作用にはその規則的ペースメーカー活動が重要であると考えられる。本研究では、終神経GnRHニューロンのペースメーカー活動が自身の産生すると思われる分子種と同一のGnRHペプチドにより修飾を受け、その自発放電頻度とパターンを変化させることを見出した。終神経GnRH細胞に存在する受容体に結合したGnRHは、おそらくGqを介した細胞内情報伝達経路を活性化し、IP3による細胞内ストアからのca放出を促して上昇した細胞内CaがCa感受性K電流を活性化し、一過性の自発発火頻度の減少をもたらす。またDAGにより活性化されたPKCはCaチャネルを活性化し、これが持続性の自発発火頻度の増大をもたらすのではないか、と考えられた。
2. GnRHニューロンの神経分泌機能 GnRHニューロンの分泌活動を調べるために微小炭素繊維電極(CFE)による電気化学的な測定法を開発した。まず既知濃度のGnRH溶液を用い、電極電位が約800mV以上の時にGnRHの酸化電流を記録できることを確認した。次に、魚類の全脳in vitro標本を用いて、終神経GnRH細胞の分泌活動のアンペロメトリーによる記録を行った結果、自発的なスパイク状の電流が記録された。スパイク状電流の大きさがGnRH溶液のアンペロメトリーと同様の電極電位依存性を示したことから、この電流は終神経GnRH細胞の細胞体から自発的に開口分泌により放出されたGnRHの酸化電流であろうと結論した。
3. 原索動物ペプチドニューロンの機能 ホヤ成体の脳神経節腹側(GnRHニューロンが多く分布する部位)の神経細胞から微小電極を用いて膜電位の細胞内記録を行い、一部の細胞が光刺激に対して膜電位応答を示すことがわかった。このことから、GnRHニューロン自体が光感受性を持つ可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Oka,Y.: "The gonadotropin-releasing hormone (GnRH) neuronal system of fish brain as a model system for the study of peptidergic neuromodulation." GnRH neurons : genes to behavior″(ed.by I.S.Parhar and Y.Sakuma),Brain Shuppan Publishers,Tokyo. 245-276 (1997)

  • [文献書誌] Oka,Y.: "Physiology and morphology of bonadotropin-releasing hormone (GnRH) neuronal system of vertebrate brain." Brain and Reproduction″(ed.by M.Ichikawa),Gakkai Shuppan Publishers.Tokyo. 69-96 (1998)

  • [文献書誌] Yamamoto,N.: "Gonadotropin-releasing hormone neurons in the gourami midbrain : a double labeling study by immunocytochemistry and tracer injection." Neuroscience Letters. 240. 50-52 (1998)

  • [文献書誌] Yamamoto,N.: "Gonadotropin-releasing hormone (GnRH) neurons innervating the pituitary in teleosts : A double labeling study by immunocytochemistry and in vitro tract tracing method." Neuroscience Research. 31. 31-38 (1998)

  • [文献書誌] Amano,M: "Ontogenic development of salmon GnRH and chicken GnRH-II systems in the brain of masu salmon." Cell and Tissue Research. 293. 427-434 (1998)

  • [文献書誌] Tsutsui,H.: "GnRH-immunoreactive neuronal system in the presumptive ancestral chordate,Ciona intestinalis (Ascidian)." General and Comparative Endocrinology. 112. 426-432 (1998)

  • [文献書誌] Abe,H.: "Characterization of K+ currents underlying pacemaker potentials of fish gonadotropin-releasing hormone cells." Journal of Neurophysiology. 81(印刷中). (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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