研究概要 |
カテプシンEはER、エンドソームなど細胞内膜系に存在する蛋白質分解酵素である。哺乳類組織に多く存在するが、その構造と生体内での機能については長い間不明な状態が続いてきた。申請者はモルモット、ウサギ、サル等でcDNAクローニングを始めとする構造解析とその比較、さらに酵素活性の詳細な解析を行い多くの成果を挙げてきた。 本研究は遺伝子ターゲティングを最終目標としており,まずマウスカテプシンE遺伝子の単離に取り組んだ。Stratagene社のλFix遺伝子ライブラリーから全9個のエクソンをすべて含むカテプシンE遺伝子が得られた。エクソンの塩基配列を決定し、他のカテプシンEと比較し構造上の特徴を明らかにした。また遺伝子数を調べるため、組織抽出液の電気泳動後の活性染色、サザーン分析、FISH法による解析を行った。いずれも1遺伝子であることを支持する結果を得た。これらのことからターゲティングのための基礎的データの解析が終了した。この成果はBiomed. Res.に発表した. 細胞内でのカテプシンEの機能を明らかにするため、回虫インヒビターの遺伝子導入を検討した。この基礎的研究として平成9年度には、インヒビターのcDNAクローニングと酵母での発現,生産されたタンパク質について機能部位の検索を進め、Lys110とLys75が活性発現に必須のアミノ酸であることを明らかにした。
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