研究課題/領域番号 |
09640826
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研究機関 | 広島工業大学 |
研究代表者 |
中野 武登 広島工業大学, 環境学部, 教授 (20033912)
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研究分担者 |
山口 富美夫 広島大学, 理学部, 助手 (60244290)
出口 博則 広島大学, 理学部, 教授 (60117017)
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キーワード | 共生 / コケ植物 / ツノゴケ類 / シアノバクテリア / Nostoc / 共生再構築 / 種多様性 / Phaeoceros |
研究概要 |
日本各地においてコケ植物ツノゴケ類の胞子嚢を形成している標本を採取して実験室へ持ち帰り培養した。これらの試料から、symbiontであるシアノバクテリアを分離・培養した結果1個体内に形態の異なるNostoc2-3株が共生していることを確認できた。これらは種レベルで異なるものと考えられ、ツノゴケ類においてsymbiont取り込みに種多様性のあることが確認された。また、symbiont freeの葉状体作出も胞子を用いて行ったが、種によって生育の異なることが明らかになった。本年度は、特にPhaeocerosに着目し、共生構築の状態を観察した。本種の腹面には丸い穴が散在していることが確認された。symbiont freeの葉状体を用いて再合成を行い、Nostocを接種後約1週間目に葉状体の先端部(細胞分裂が盛んな部位を用いて、パラフィン切片を作成し観察した結果、上記の穴からhormogon状態のNostocが侵入している状態が観察された。また侵入後は葉状体内でcavityを形成し、Nostocが次第に増殖していく過程も観察された。共生した部分が大きくなったものでは、cavity周囲の細胞と同様なものがNostocのコロニー内にも観察された。この細胞が周辺細胞から分裂したものか、従来存在していた組織細胞であるかは確認されていないが、いずれにしてもこれらの細胞がNostocから主として窒素源を葉状体に供給していると推定された。これまでに、本研究者らによって研究されたBlasiaにおけるcavityとは形態的に著しく異なっていることが明らかになった。
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