研究概要 |
従来の研究の進展から、コケ植物ツノゴケ類に共生している藻類は、1個体に必ずしも1種でないことが明らかになった。しかし、すなわち共生藻の取り込みの多様性であり、従来の研究報告にはない新しい知見である。ただしこの現象は、供試用の試料によって異なるものではないかとの疑問が発生してきた。これは、試料によって1個体に1種の共生藻のみを取り込んでいるものから、2-3種の共生藻を取り込んでいるものまで、さまざまな現象が明らかになったためである。 そこで本年度は、さらに全国各地からPhaeoceros carolinianus, Megaceros flagellarisに着目して試料の最終を行い、共生藻の取り込みの多様性を検討した。その結果、いずれにも取り込みの多様性が認められたが、Phaeoceros carolinianusでは意外と多数の試料で取り込みの多様性が認められたが、Megaceros flagellarisでは稀であることが明らかになった。また、地域的な異なりは、本年度の研究では認められなかった。すなわち、1地域でも個体によって多様性の認められるものと、認められないものがあり、さらに微細な生育地の環境条件に影響をされている可能性が大であると推測された。また、共生に関する進化の段階の違いによるものとも推測され、同時進行している再合成の結果と一緒に、今後さらに研究を発展させる必要がある。 共生藻の取り込みの多様性では、Nostoc sphaericumの他に、Nostoc ps.1,N.sp.2,N.sp.3など形態的に異なる種が分離されているが、種の分類学的検討も一応終了した。
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