1)分布の把握・資料収集 西表島におけるイリオモテボタルの分布状況を把握するために、西表島および石垣島をほかを調査するとともに、資料収集を行なった。資料は形態や遺伝的研究用にマイナス40℃で冷凍保存している。本種との対比種であるクシヒゲボタル属ホタルや、本種と同属の台湾の種、タイランドの種などを採集することができたので、遺伝的な背景から研究を続行している。 2)幼虫の生態解明 イリオモテボタルの室内飼育を実施し、完全飼育に成功し、発光行動や生態を詳細に観察し、生息環境・摂食行動なども明らかにした。本種は1年1化であり、幼虫期はヤスデ類を捕食する。 3)成虫の活動習性・生態・発光パターン・配偶行動などの解析 成虫の配偶行動や発光パターンと発光行動・産卵行動などについて徹底的に野外観察を行い、国内のクシヒゲボタルなどのほか、台湾・タイランドほかの国外の同属種や星虫などの類似種と比較しながら、それらの特徴や差異を明かにした。幼虫期の食性は国内・国外種ともにヤスデ類であり、発光行動はほぼ同じである。イリオモテボタルの雌成虫は幼虫と一時期同居し、亜社会性昆虫と考えられる。雌成虫の寿命は約90日に及ぶ。台湾・タイランドの同属種の発光行動はきわめて類似するが、発生期が異なる。 以上のように、当初の研究計画に沿って順調に成果が得られ目的はほぼ達成されている。
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