研究課題/領域番号 |
09640838
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
金澤 英作 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050648)
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研究分担者 |
近藤 信太郎 昭和大学, 歯学部, 講師 (60186848)
葛西 一貴 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (30169396)
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キーワード | 歯科人類学 / スンダドント / モンゴロイド / パプア・ニューギニア / 歯のサイズ / 歯列弓 |
研究概要 |
日本大学松戸歯学部の所蔵するパプア・ニューギニア高地人の口腔模型を使用し、歯の近遠心径・頬舌径、ならびに歯列弓の計測を行った。この資料は平成9年8月、パプア・ニューギニア中央山岳地帯のエンガ州・ワバクで採集されたものである。この地域の住民はオーストラリア原住民と近縁関係にある民族集団と言われ、アジア・太平洋地域では古い系統に属する民族と言われている。 (1)歯のワイズの分析 石膏模型は男性71個(平均年令18.3才)、女性57個(平均年令20.3才)を使用した。計測された項目は上下顎右側切歯から第2大臼歯までの計14歯種の近遠心径と頬舌径計28項目である。これらの計測値の平均値を他の太平洋集団(PNG高地人、メラネシア人、ポリネシア人、ミクロネシア人、など)計14集団と比較した。ペンローズのサイズ距離は他の高地人(ゴロカ、ルファ)やミクロネシアに近かった。マハラノビス距離を求め、シェイプを加味した分析を行うとワバクはキリバスやオーストラリア原住民に最も近く、ついで他の高地人に近似していた。サイズファクターを除いたQモード相関係数に基づく距離を求めるとワバクは他の高地人と極めて近い関係にあることが示唆された。 (2)歯列弓の分析 ワバクの資料を用い、歯列弓の長径と幅径、計17項目の計測を行い、これまで発表されている他の5集団(フィジー、サモア、キリバス、オーストラリア原住民、日本)との比較を行った。ワバクは6集団中ではフィジーとならんで比較的大きな歯列弓を持つことがわかった。主成分分析の結果を2次元展開すると第一軸が大きさのファクター第2軸が長さのファクターとなり、ワバクはフィジーやサモアとの類縁性が示された。
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