研究課題/領域番号 |
09640841
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立歴史民俗博物館 |
研究代表者 |
西本 豊弘 国立歴史民俗博物館, 考古研究部, 助教授 (70145580)
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研究分担者 |
篠田 謙一 佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (30131923)
松村 博文 国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (70209617)
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キーワード | 中妻貝塚 / 多数合葬人骨 / 歯冠計測値 / DNA分析 / 親族関係 |
研究概要 |
茨城県取手市中妻貝塚のひとつの墓穴から一括して出土した縄文時代後期前半の約100体の人骨の親族関係を考えるために、西本と松村は、歯の歯冠計測値の統計学的分析をすでに行っている。そこで、この研究では、同じ人骨資料のDNA分析を行って、親族関係が歯の計測値による分析と一致するか否かを検討することとした。 平成9年度は、中妻貝塚出土人骨のうち、歯冠の計測値が得られる歯を40点選び、その歯根部分を切断してミトコンドリアDNA分析を行った。この結果、29点の資料でミトコンドリアの配列を確認することができた。その内容は、ひとつのグループに属するもの17例、もうひとつのグループに属するもの5例で、その他はすべて1例ずつとなった。ミトコンドリアの分析は母系遺伝を示すので、この分析結果は大きく二つの母系グループが中妻貝塚に存在したことを示している。そして、そのグループの区分は、歯冠計測値の分析結果とは異なっていた。しかし、父系遺伝と母系遺伝の両方が影響する歯冠計測値による分析結果が、母系遺伝のみを示すミトコンドリアDNA分析の結果と一致しないことは当然であり、現在この二つの分析結果の意味を検討中である。 なお、篠田によるDNA分析と並行して、松村は歯冠の計測を行った。西本は、来年度の研究の準備として、人骨出土例とその文献を集成する作業を行った。 来年度は、中妻貝塚人骨のDNA分析をさらに追加するとともに、他の遺跡出土人骨のDNA分析も行い、縄文人の親族関係を考える手掛かりを得たいと願っている。
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