研究概要 |
1. 光照射下での磁気特性測定装置の製作 光照射時の磁気特性を測定するために昨年度製作した装置に分光器を組み込んだ.これにより任意の波長の光を導入できるようにした.これを用いて温度2Kにおいて測定を行い,光照射時においても温度コントロールが可能であることを確認した. 2. 錯体の合成,磁気特性,光学特性 有機層に長鎖アルキル基を用いたペロブスカイト錯体[CH_3(CH_2)_<17>NH_3]_2MX_4,M=Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,X=Cl,Brおよびナフチルアミンを用いたペロブスカイト錯体[C_<10>H_7CH_2NH_3]_2MX_4,M=Cr,Mn,Co,Cu,X=Cl,Brを合成した.この粉末試料において以下のことがわかった. (1) 長鎖アルキル錯体の磁気特性をSQUIDで測定し,M=Cr,Cuでは強磁性,M=Fe,Mnでは反強磁性,M=Coは常磁性であることがわかった.一方ナフタレン錯体においては,M=Cuは強磁性を示したが,その転移温度は長鎖アルキル錯体と比較して低下した.M=Mnは反強磁性,M=Coは常磁性を示した.これらのことから,磁気特性は有機分子にほとんど依存しないことが示された. (2) M=Mn,Co,Cuのナフタレン錯体において光照射下での磁気特性を測定したが,磁化,磁気転移温度の変化は確認されなかった.一方蛍光特性において,ナフタレンは350nmに発光を示すが,M=Cuのナフタレン錯体はその位置に4π→d_<x2-y2>吸収をもつため消光した.即ち有機層から無機層へのエネルギー移動を確認した.一方M=Mn,Co錯体は吸収を持たないため前駆体と同様の発光特性を示した.
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